- 社長インタビュー
人生の主役は社員自身 2代目ハンズ社長が語る、就活生に伝えたいこと

私たちの暮らしに欠かせない“水”を支える裏方、株式会社ハンズ。浄水場や下水処理場で使われる電気制御技術=計装を専門に、社会インフラを守ってきた会社です。今回は異色の経歴を経て2代目社長に就任した斉藤さんに、継承の想い、未来のビジョン、そして新卒採用に力を入れる理由を伺ってきました。
「継ぐなんて、1ミリも思ってなかったんです」─水インフラを支える会社を託された理由
普段、トイレの水って、流したあとどこに行くか知ってます?下水管を通って下水処理場に行って、ちゃんときれいにされてから川に流されてるんです。そして、その水が巡り巡ってダムに溜まり、浄水場で消毒されて、初めて蛇口から“飲める水”として出てくる。この“水の循環”を、”計装”という技術で支えてるのが僕たちの会社、ハンズなんです。
計装って、英語で言うと“オートメーション技術”。たとえばお風呂にお湯を張るとき、“自動”ボタンを押すと、適量で止まって、メロディで教えてくれるじゃないですか? あれって、機械が“温度”や“水量”を人間の代わりに判断してくれてるんですよね。ああいう仕組みを作ってるのが計装なんです。
計装の技術を用いて”水の循環”に関わる施設や設備に不具合がないか支えながら、皆さんの当たり前を守っています。そんなハンズの2代目社長として就任したのが、2022年でした。
正直、社長になるなんて1ミリも思ってなかったです。僕、大学院ではまちづくりを研究してたんですけど、途中でやめて。新卒では人材派遣の会社に入りました。でもやっぱり、自然と共生する暮らしに惹かれて、知り合いがやってる北海道の牧場に転職したんです。馬を活用した観光とか、地域活性の仕事をしてました。今の仕事とは全然関係ないでしょ(笑)
そんなタイミングで、母親の病気が発覚しました。
母がうつ病を発症したんです。それまで元気だった人が変わっていくのを見て、すごくショックでした。父もその状況に困惑していて、『これは誰かが支えなきゃ』と思い、牧場を辞めて実家に戻ったんです。そのときは、継ぐつもりなんて全然なかったです。
でも、父から「そろそろ会社に戻ってきてくれないか」と声をかけられ、心が揺れました。
最初は 「え、むりっ!!!」って思いました。自分に社長なんて務まるのかなって。でもある日、大宮のジュンク堂でふと手に取った本があって。田坂広志さんの『すべては導かれている』っていう本なんですけど、そこに“一見不運に見える出来事も、より良い人生を贈らせるための導きである”って言葉がありました。これまでの自分の人生とか、このタイミングで実家に戻ってきたこととか、いろんなピースが不思議とつながった感じがしてこの状況に妙に納得した記憶があります。
『もし自分がこの会社を継がなかったら、どうなるんだろう?』って初めてちゃんと考えました。お金に困らず大学に行けたのも、今こうしていられるのも、両親とこの会社のおかげだなと思ったときに、自然と“自分ができることをやろう”って決意が固まったんです。

社員がいてくれるから会社がある─感謝とともに始まった経営者人生
よく“2代目って大変だよね”って言われるんですけど、うちはホントにみんながあたたかく迎えてくれて…ありがたかったですね。ベテラン社員の方々も含めて、すごく支えてくれたから、僕が社長としてスタートできたと思ってます。
ただ、正直、自分がどこに向かって経営していけばいいのか、当時はまだ見えてなくて。それでまずは当時なかった経営理念をつくろうって思ったんですよね。ただ、それだけじゃ抽象的だから、“じゃあ具体的にどうするの?”って部分をみんなで考えたくて。社員にビジョン作成のプロジェクトメンバーを公募したんです。
でも、最初はなかなか温度差も大きかった。
初回のミーティングはめっちゃ冷めた空気でしたね(笑)。“一体なにがはじまるの?”ってみんな疑心暗鬼でした。そりゃそうですよね、いきなり”ビジョンをつくろう”って言っても、ピンときませんよね。でも、回数を重ねるごとにミーティングでも笑いが起こるようになって。みんなが考えるハンズらしさ、理想の会社について色々な話が聞けたことが一番の収穫でした。こういった取り組みを通じて、”会社はみんなでつくった方が楽しい”と思うようになりました。

“自由だけど、放置しない”─ハンズが大切にしている文化
僕は“自由であること”を会社の大事なスタンスにしたいと思ってるんです。でも、自由って気を抜くとただの“放置”になっちゃう。だから、「自由にやっていいけど、ちゃんとお互いを気にかけ合える、分かち合いのある組織」にしたいなと。
社員に対して細かく口出しはしないし、フラットな関係を意識しています。朝礼では自分の趣味の話とか、最近気づいたことを話して自己開示したり、普段から“人と人として関わる”ことを大事にしてます。
この前も、ある社員から「給料もっと上げてくださいよ〜」って、超ストレートに言われて(笑)。ちょうど給与が決まった直後だったから、びっくりしたんですけど、よくよく考えると物価も上がってるし、たしかに実感として給料が増えた気がしないっていうのは本当その通りで。
ここ数年、大幅ではないけど基本給のベースアップは毎年やってきました。でも、社員が「増えた」って感じてくれてなきゃ意味がないなって、そのとき改めて思ったんです。
僕自身、会社をやるモチベーションって“売上を上げること”じゃなくて、“社員の平均年収を上げること”なんです。それってある意味、僕の自己満なのかもしれないけど(笑)、人件費を抑えて出した利益って、正直そんなに誇れるもんじゃないなって僕は思っています。
あとは、任意参加の社員旅行に6割以上が参加してくれて。中でも印象的だったのが、普段は物静かな社員が「また社員旅行はないんですか?」って笑顔で言ってくれたこと。そんな風に思ってくれてたんだって、すごく嬉しかったですね。
こういう、社員同士が自然と距離を縮められる場って、やっぱり大事だなと感じました。それが組織で働く上での面白さでもあると思うんです。
うちは、自由度が高くて、みんな伸び伸びと働いてる会社です。だけどそれだけじゃなくて、ちゃんと技術を身につけて仕事に誇りを持っている、その結果、報酬もしっかりもらえる。さらに、 人とつながれる喜びがある。そんな「自由で、ちゃんと報われて、人と繋がれる会社」を、これからもつくっていきたいと思ってます。

未経験でも大丈夫。大切なのは“素直さ”と“対話力”
うちは今、新卒採用に力を入れてるんです。きっかけは、僕が社長に就任したときに“組織の人口ピラミッド”を作ってみたこと。そしたら、あと10年経つと平均年齢が50歳近くになる計算で。このままじゃマズいぞとなりました(笑)
今までは中途採用メインでやってきたけど、長く続く会社にしていくためには“若手の採用と育成”が絶対に必要。そう強く感じたのが、新卒採用に本格的に取り組み始めた理由です。
とはいえ、最初からスキルとか知識がある必要は全然ない。大事なのは“素直に学べるかどうか”と、“気持ちのいいコミュニケーションができるか”。別にお喋りが得意じゃなくてもいいんですよ。相手の気持ちを考えて行動できる人、それだけが全てです。
それもあって、うちに新卒で入ってきてくれる子は実は文系出身者が多いんです。
現時点では、手厚いマニュアルや研修プログラムは整っていない。でもその代わり、現場で先輩の背中を見ながら学び、個別指導を受ける文化が根付いている。
水の循環って、社会を回していくうえで絶対に欠かせないインフラなんですよね。でもその中でも“計装”って分野に特化してる会社って、全国見てもそんなに多くないんです。だからこそ、興味を持ってくれたら嬉しいですし、未経験でも挑戦してくれる人がいたら一緒にこの社会インフラを支える面白さを味わっていけたら嬉しいです。

自分の人生を手綱で握ろう─就活生・未経験者へのメッセージ
僕自身、遠回りしてきた人生だからこそ思うんです。“自分の人生の手綱は、自分で握ってほしい”。会社って、自分の理想を叶えるための“舞台”であるべきだと思っています。
ハンズは、おかげさまで売り上げ的にはかなり安定してる。でも、組織としてはまだまだ発展途上だと思ってる。もっと良くできるし、もっと面白くできる余地がある。
無理に自分を会社の型にはめなくていい。ハンズをうまく活用して、自分の可能性をどんどん広げていってほしい。そんな未来を、一緒に描いていけたらいいなって思っています。
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