- 社長インタビュー
業務のチーム化でお客様に安心を 共に成長する仲間と未来を創る

2021年から新卒採用を再開した税理士法人小林合同会計は、若手職員のキャリアプランを尊重した育成に力を入れています。一方で、ベテランの職員たちには幹部研修などを取り入れ、仕事のチーム化、事務所内の組織化を目指しています。 職員の「働きがい」と「働きやすさ」を追求した新しい体制へ生まれ変わろうとする真意とは?小林所長の想いを伺ってきました。
社長の想いをカタチに 中小企業のフロントランナーを支援
私たち小林合同会計では企業支援、中小企業の社長さんたちを支援する活動をしています。もちろん会計事務所なので会計から入って税務、財務アドバイスなどをします。そこからどうしたら会社が良くなっていくのかを考えて支援していきます。
私は同族会社の事業承継、不動産組み替えをメインに対応していますが、一言に事業承継と言っても単純に事業を誰かに承継するというだけではありません。
社長さんの思いや会社のブランド、技術、組織承継もそうです。要素がたくさんあります。
これらについて社長さんと話をしている中で、抽象的なことを具体的に、課題を炙り出していって一つ一つ潰していく。もちろん私1人ではできませんから、うちの職員に手伝ってもらったり、司法書士・弁護士・不動産鑑定士・行政書士など各種士業さんとタイアップして、いろいろと課題を解決していくというような企業支援と言えばいいでしょうかね。
会社の経営は社長がこれをやりたいという気持ちがないと駄目だと思うので、そのやりたいと思う気持ちををどうやったら財政面税務面で助けることができるか。そういうアプローチの仕方を私はしているつもりですし、職員もそうしてほしいと思っています。
会社を大きくしたい、社員を良くしたい、地元に貢献したいという気持ちがある社長さん方、そして各業界のフロントランナーをお手伝いしたい。そういう人たちが集まる場になりたいです。
つい最近ですが、人を大切にする経営学会が主催する「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の特別賞を顧問先の会社が受賞したんです。そういう会社のお手伝いをさせていただいているのはとても光栄ですね。
風通しの良い環境で職員の成長をサポート
うちの強みは離職率がすごく低いことだと思います。勤続年数は平均で15年ほどです。
その結果、同じ担当者が長く同じ会社を見ることができます。
お客様から見て、担当者がしょっちゅう変わるというのはとても迷惑。酷いと1年で2、3回変わって「あそこの会計事務所は本当に困る」と言ってうちに相談に来る会社もあります。そういった面ではご迷惑をおかけしないと思います。
15年とか20年付き合っている担当者と社長さんもいて、旅行したりとか家族ぐるみのような付き合いをしている担当者もいます。繋がりの強さ、そういうところも強みじゃないかなと思います。
離職率が低い理由は、居心地がいいんでしょうね、きっとね。(笑)
若い子たちは、すごく楽しそうに仲良くやってくれているんですよ。同世代が多くてワイワイと雰囲気良くやっています。
また、一人ひとりのキャリアプランをちゃんと聞いてあげて「こうしたい」「じゃあ、そうできるようにやっていこう」という話はよくさせてもらってるので、まだ入って1年ぐらいでも「ずっとここで働きたいと思っている」と言ってもらえているのもすごく嬉しいことですね。
直接話を聞くことで、この子はこうこういう風に考えているんだというのがよくわかります。キャリアプランやイメージを共有することができれば仕事の振り方とかも考えられるし、変わってきます。
会計事務所は、会計と一言で言っても、製造業・小売り業・サービス業、地主さんだったり、医療機関だったりと色々な分野があります。大きく分けると、法人税と資産税でわかれるんですよ。
うちは基本的に法人税が強くて、資産税は事務所としては弱い。できるのは私ともう数名ぐらいだけ。
ところが面談で若い職員から資産税をやってみたいという話を聞けたので、資産税の仕事を振ることができました。それを聞かなかったら全く振るつもりなかったんです。だから聞けてよかったと思います。

経験豊富な先輩がバックアップ 働きながら資格取得も目指せる
やる気があれば、うちは資格も取れると思うし、仕事も経験もすごく積めると思います。
成長するにはもってこいだと思っています。
やっぱり歴史の長い事務所なので、案件と事例はたくさんあります。
経験値の多い先輩たちがたくさんいるので、こういう事案の時はこうだというフィードバックがあります。先輩たちは引き出しがいっぱいあるので、求めればいろいろ出してくれます。困っていれば助けることもできます。
働き方改革をしっかりとやったので、資格試験の勉強もやる気があれば絶対に時間を確保できるはずです。
事務所全体で若手を育てる意識 過去の苦い経験が反面教師
一時、新卒採用をしていませんでしたが、2021年から再開し、力を入れています。
それまでは中途採用をしていたのですが、2018年前後に採っては辞め・・・というのが続く“暗黒時代”があったんです。
原因は、ベテランの職員が仕事を教えなかったこと。
当時は歩合給だったので、後輩に仕事を教えると仕事を取られて給料が減る、だから教えない。仕事を覚えたければ背中を見て覚えろみたいな感じで助け合う精神が一切なくて。ベテランの職員たちはそうやって教えられてきたし、本当に教え方もわからなかったんですよ。でも今の時代にはこれは全く合っていなくて、それで若手職員が辞めていってしまったんです。
中途採用がマッチしない。それで新卒に切り替えたんです。
その反省があったので、歩合制は今いるメンバーで廃止にして、とにかく若い子はみんなで教えて育てるという方針にしています。
自分がこの業界で初めて入った事務所は、9ヶ月ぐらいで辞めたんですけど、やっぱり放任の先生だったんです。勉強はさせてもらえたけど仕事のキャリアは積めなかった。
次に入った事務所は、同い年ぐらいの同期がいて、ちゃんと仕事を教えてもらえて税理士試験の勉強の時間も取らせてくれました。居心地がいい事務所だったので、働きやすく勉強もしやすかったです。
3年でやめるつもりが8年も働いちゃったんです(笑)。現会長の父から戻ってきてと言われなかったらもっとそっちにいたかもしれない。
自分の経験で良かった所と悪かった所を勘案して、こうやってみんなで育てて行こうという話をした結果、それが結局うまくいっているので、よかったのかなって思っています。
一方で事務所の課題として人事評価がしっかりと確立できていないので、現在、試行錯誤しています。その一環として幹部研修にもすごく力を入れています。
若い人たちが入ってきても、ベテランの人たちがうまく回せない立ち場だったら、結局なんだよって思われてしまう。そうならないためにベテランを教育する必要もすごくあると認識していて、今マネージャー研修をすごくやっているところです。
ベテランの職員たちには、「若い人たちはもう歩合給じゃないからチームでまとまって動くように話をしているから、まとめ役はあなたたちがやらなきゃいけない」という話をしています。ちゃんと研修を用意して、講習も手配して、時間をかけてこの事務所を組織にしたい、チームにしたいと思っています。
一緒に働きたい人物像は?
イベントが好きな方がいいですね。一緒に働きたいと思います。
ちょうど2025年卒で春に入ってくる新入社員4人の内定式を最近やったんですけど、4人とも初めての顔合わせのはずなのに、「本当に君たち初対面なの?」というぐらい盛り上がって。
内定書を渡してその後、私は抜きで若い職員たちと食事に行ってもらったんですよ。そうしたらすごく盛り上がっていたようです。
採用面接では、うちの事務所はイベントが多いけど大丈夫ですか?お酒は飲まなくてもいいけど、お酒の場が嫌いだとうちの事務所はつらいかも、という話をさせていただいています。
そういう場を楽しめる人に来てもらいたいですからね。
それが苦手な方が入ってしまったら、すごくストレスだと思うんですよね。そうするとお互い不幸ですからね。

今後は女性も安心して働けるチーム体制に
事務所としては60人ぐらいまで人を増やしたいのと、男性の育休が取れる状態にしたいです。その背景には女性で外回りができる職員を増やしたいという思いもあります。
すごくよくないなって思っていたのが、うちは男性が外回り、女性が内勤、ときっぱりわかれていたんです。でも女性の職員はお客様に対してのフォローなど細かい気配りなどをすることが多いので、女性の外回りが欲しいと思っていたんです。
それで去年入った女性が、事務所としては本当に十数年ぶりぐらいの外回りになったんです。すごくいい仕事をするんですよ。
今はもう1人増えましたし、当面の目標としては外回りの女性職員を5人に増やしたい。
そうすると今後彼女たちのライフプランに産休・育休が入ってくる人もいます。これまでのように産休・育休に入った時点で、全部担当がなくなってしまう状況だとキャリアも一からやり直しになって気持ち的にもモチベーション的にも良くない。
だから男女共に育休が取れるぐらいお互いをフォローアップできるチームの体制作りが必須です。
チームであれば、たとえ1人が抜けたとしても、同じ仕事をしている人がフォローに入れます。育休が明けてまた戻れるというのを男性ができれば、女性は必ずできます。そうすれば、女性たちも不安なく外回りの仕事に飛び込んでくれると思います。
女性も安心して働ける、お客様も安心してお願いできるという体制を作って、売り上げも上げたいですね。やっぱりみんなに分配したい、所得の底上げをしたいという気持ちがあります。
あとは内勤者たちでも法人税の申告書、消費税の申告書を作れるぐらいの知識を持てるような研修、教育体制も整えたいです。
小林合同会計っぽい社風やカルチャーはありますか?
昭和の雰囲気がたくさん残っていますね。正月はおしるこを振る舞ったり鏡割りもやります。
あとは1月21日の川崎大師の初大師。外回りの社員20人ぐらいでお参りします。
大体朝6時くらいから始まって、1時間ぐらい護摩焚きを受けます。
その後はいつもお願いしている川崎大師のだるま屋さんで三三七拍子をやって受け取ります。会社で毎年作る標語があって、今年は「躍動」ですが、その標語をだるまに入れてもらっています。

そうそう、あと掃除もね。
うちは自社ビルですが、掃除は業者に頼んでいないので自分たちでやっています。
やっていて思ったのは、掃除できない人は仕事ができない。細やかな掃除をする人は、お客様に対しても細やか、それはすごく如実に出ますよ。

一緒に働く職員への想い
つい先日、コロナ明け初めての社員旅行だったんですよ。日帰りで横浜の中華街と浅草。
基本行ける人だけですが、結局バスに乗ったら44人でほとんどいました。
すごく盛り上がっていて、私はほぼほぼ職員と喋ってないんですよ。(笑)
みんなが楽しそうにしてるのを私は見るっていう、それで満足だったんですよ。
あと職員の仕事に幅が出てきて成長を感じられるのがすごく嬉しい。
昔はそんなことおそらくなかったんですけど、最近はそれをすごく感じるようになってきました。
みんなの喜びが自分の喜びになっています。
